第3弾 転換期間中有機農産物の流通課題を考える

プロジェクトテーマは「オーガニックとして売れないオーガニック!?」

まずは自社商品有機食品シリーズを展開し、生活者に道産オーガニックを直接届けることができた1年目。次世代へ生きた土を継ぐために、オーガニック農業の可能性を生産者や実需者、生活者に知ってもらうためのノウハウ本「自然と人と農業と」を編んだ2年目。

今思いに共感し、オーガニックに転換したいという生産者の輪が急速に広がっています。

2023年は10件もの契約生産者がオーガニック農産物への転換に向けて動き出しました。10年で2件ほどしか転換する生産者がいなかったこれまでに比べ、驚異的な件数です。

しかし、そこで新たな問題が浮上しました。農産物をオーガニックとして販売するには「有機JAS認証」という規格に基づいて、有機栽培をはじめてからの一定の期間は「転換期間中」つまり「オーガニック的管理をし始めたばかりです!」という注釈をつけて販売しなければなりません。しかし、言葉の認知度が低くく、安定供給もお約束できないこの農産物をあえて使ってくださるメーカーさんが少ないのが現状です。それでもオーガニック農業の生産者を増やしていくには必ず通らなければならない道。これらの課題解決なしにオーガニック普及はないのです。私たちは8人の学生たちと、この「転換期間中」の価値を考え、認知度向上、商品開発、マーケティングについて研究、実践すべく動き出しました。

Action:1 学生と共に「転換期間中有機農産物」流通問題について考える

まずは農業や、マーケティング、プロモーションに関心のある全国から集まった8人の大学生と一緒に、転換期間中有機農産物の流通における課題を洗い出し、解決するためのアクションを考えるべく、現地ツアーを実施しました。実際に農産物を取り扱っているメーカーやオーガニックに取り組む生産者を訪問し、インタビュー。学生自ら五感を使って多くのものを吸収し、また私たちにたくさんの刺激と新しい視点を与えてくれました。そして転換期間中の価値を伝えるためにはいろんな人(生産者、実需者、生産者)がひとつのテーブルにつき、お互いを尊重し、理解し合うことが良いのではないかと立案してくれ、イベントの運営に携わってくれることに。12月に浦幌町で行われたOne Tableイベントではツアーを通じて感じたことなどを発表し、参加された方々に転換期間中の価値を考えるきっかけを作りました。

 

Action:2 課題を理解し、共感してくれる実需者(メーカーやベーカリー)に商品を供給

アグリシステムと長年お付き合いをしてくださっている実需者の方々に現状を率直にお伝えし、「転換期間中有機農産物」の商品を使っていただける方を募りました。原料価格にどうしても差が出てしまう慣行栽培とオーガニック栽培の農産物。それでも、生産地を応援したい、次世代農業を消費地から支えたいという思いを持つ方達の輪が広がりつつあります。

カタネベーカリー様インスタグラム投稿より
「カタネベーカリーの定番食パンのパンアングレに使用している小麦粉をオーガニックにしていきたいと思っています。毎年、社員研修旅行で北海道を訪れ、製粉会社さん、小麦生産者さんと直接いろいろな話をしています。これからも小麦栽培を続けていくには、今までの慣行栽培から有機栽培へと転換していくことが必要だと、生産者さんたちも気づき、動き始めました。そうしてできた小麦を私たちパン屋が使っていかなければ何も変わることはできません。
しかしそこには価格の壁があり、日常を担うパン屋としては頭を悩ませています。(中略)共感して頂けるお客様が増えてきたら、徐々に焼く日を増やしていきたいと思っています。みなさまにもご理解頂けると嬉しいです。」

Action:3 大豆ミートなどの自社商品も「転換期間中」に変更

「有機JAS認証」を取得した商品を世に出すには、生産現場だけでなく選別やパッケージ工程でも認証に基づいて厳格な管理が必要になります。そのため、「転換期間中有機農産物」を扱うとなるとまた別の管理ルートが必要になり、作業コストが上がってしまうので取扱いは難しい、という声もありました。それでも、自分たちからできることをやってみよう、とアグリシステムの小袋商品「風土火水シリーズ」も2024年から順次「転換期間中」のシールを貼った商品を販売します。ありがたいことに、お取引先様からはご理解をいただいております。商品と一緒に、ポスターやチラシなどで言葉の認知度拡大も目指していきます。

これからも、共にアクションを起こしていく仲間を絶賛募集中!

今年度は、オーガニック農業に転換する上で必ず通る道である「転換期間中」という言葉を通して、様々な立場の人たちが改めて繋がり、互いを理解するために対話する機会が増えました。課題がゼロになった訳ではありませんが、生きた土を次世代に継ぐために、さらなるオーガニック農業の普及を目指して、私たちは取り組みを継続していきます。
今後の活動もぜひSNSをフォローしてチェックしてください!活動に共感し、参加してくださる方も随時募集しています。

オーガニックプロジェクト @hokkaido_organic_fudokasui
アグリシステム @agrisystem.tokachi